【農家が思う安全とは・・・】
水戸市飯富町 冨永 桂さん(73歳)

1栽培で苦労したところは?

 ほうれん草の栽培を始めて6年目。ほうれん草は年間一町五反歩の栽培、その他ネギも手がけている。今年は、水戸冷凍食品(株)からの依頼があり、初めて里芋の生産に取り組んだ。
 里芋は、3月中旬に種芋を植えて、収穫まで約8ヶ月かかる。ほうれん草に比べると収穫まで長期間の管理が必要となる。その間大切なのは水分を切らさないこと。今年は梅雨時も梅雨が明けてからも雨があまり降らなかった。 そのため、畑に水をまく作業がかなり大変だった。収穫はさらに重労働。ほうれん草やネギに比べ重量がある。しかも里芋についた土を落とす作業が大変だ。掘り起こした里芋に付着した水分を含んだ土をできるだけ簡単に落とすため、掘り起こした状態で一昼夜置いておくとこの時期、霜にも気を配らなければならない。
 里芋を栽培した畑の前作はほうれん草。ほうれん草栽培のために堆肥をたくさん入れ肥えた畑。そのため今回の里芋栽培では、ほとんど堆肥を入れなくてすんだ。種芋を植える前に消毒をしたものの、植えた後一切農薬は使用していない。連作障害防止にもなり、ほうれん草に比べ里芋の栽培は大変だが、栽培して良かったと感じている。



2堆肥について

 今、どんな物も値段が高くなっている。堆肥や肥料も例外ではない。しかし、高いからといって堆肥の投入を半分にしたり、投入したりしないと土が痩せてしまう。一度痩せた土壌を元に戻すのは大変。良い農作物を作るのには土作りが大切。農業の基本である土作りをおろそかにしてはならない。肥えた土壌でないと、納得した農産物を生産することはできない。


3残留農薬について

 収穫時に農薬を残さないためには、農薬を使わないことがあたりまえのことだけど、どうしても農薬を使わなければならない時がある。それは害虫と病気。
 こまめに畑をまわって作物の状態を見る。それも畔の付近だけでなく、畑の中に入って作物の生育状況をまんべんなく見る。そうすることによって、虫や病気を早期に発見できる。人間の病気も野菜の病気も同じで、野菜の病気の早期発見ができれば早期に治療でき、大量の農薬は必要ない。早め早めが大切と考えて実行している。
 早めに農薬を散布すれば、残留農薬も出ない。しかも早めに病気を発見すれば、希釈が千倍と表示されている農薬を二千倍・三千倍にしても効き目があり、病気になっていない作物の予防にもなる。薄めの希釈で早めに散布するので、残留農薬の心配は全くない。自分が栽培している畑の農産物の状態を常に確認することで、安全な農産物を提供できると思い、日々畑の作物を確認している。


4外国産の野菜と水戸冷凍食品の野菜について

 最近の報道を見ていると、残留農薬の問題が多く扱われていて、国産以外は信用できない。
 ただ、きちんと生産しているものもあると思う。全てが全てインチキとは思わないが、どれを信用していいかわからない。どの物を信用していいか判断がつかないので、国産の表示がされているものを購入している。しかしその表示が偽装されている。これでは何をどのように信用して良いのか判らなくなってしまう。
 その点、水戸冷食の野菜は違う。全て国内産というか、水戸冷食が選んだ農家の野菜しか使わない。水戸冷食の基準は厳しく、農薬使用量の基準は法令の2分の1以下。
 ということは、ほとんど残留農薬が検出されないという基準。今までの栽培概念は通用しない。安全な野菜を提供するために、残留農薬の基準には特に厳しい。だから、いつも農薬を使わないためにはどうしたらよいか・・・ということを考えている。
 もし、一度でも基準値以上の残留農薬がでたら、我々農家ばかりではなく、納入先の水戸冷食の信用にも関わる。
私は、自分が食べたくないような農薬づけの野菜は作らないよう心がけている。



5水戸冷凍食品の指導について

 最初は、正直「うるさい」と思った。くどいほど、残留農薬や土にこだわっている。私も私なりに勉強し、先輩たちの指導を受けて工夫した。
 そして自己流でやろうとした時、それではダメだと水戸冷食社長宮田さんから言われた。半信半疑、宮田社長の言うとおりにやってみる。農業について何も判らなかったので、とりあえず宮田社長の言うとおりにやった。結果、皆に自慢できる物を作ることができた。
 作物は正直。宮田社長の言うとおり、きちんとした作り方をすれば、お客様に喜ばれる安全でおいしい作物を作れると実感している。


会員通信 1

野菜を作る苦労や農産物の安全、そして残留農薬等についてインタビューしました。



食の安全特別号